NHKの技研公開2011に行ってきました。

網羅的な記事はきっとどこかにあるでしょうから、個人的に気になったところだけ紹介します。

最初はもちろんスーパーハイビジョン(SHV)。今のフルハイビジョン放送は 1920x1080i 30fps 8bpc が最大ですが、スーパーハイビジョン放送は 7680x4320p 120fps 12bpc を想定していて、縦横フレームレートそれぞれ4倍、色深度1.5倍の化け物スペックです。色域も広がります。音声は22.2chとこちらも化け物ですが、そんなにあっても最早分からない気がします。一応2020年ごろ商業放送開始予定(早っ!)ということです。間に合うんでしょうか。

こちらは3板式(3原色をプリズムで分離して3枚の撮像素子で撮影する方式)。60kgで消費電力300W。試作品なので一品モノです。でけぇ。

一方こちらは単板式(市松状のカラーフィルタをかけて1枚の撮像素子で撮影する方式)。当然ながら3板式に比べるとだいぶ小さくなっています。解像度は4000TV本弱ということで、かなり頑張っています。もうそろそろカメラさんが肩に担いで移動しながら撮影できるようなサイズになりそうだ、ということでした。

んで肝心の85インチスーパーハイビジョンディスプレイ(液晶)ですが…撮影ダメでした(涙) 紅白の映像とか流れてたからかなー。ドットピッチで言うと21インチでフルハイビジョンなディスプレイと同じなんですが、よくまあこんなもん作ったもんです。

続いてスーパーハイビジョンシアターでデモ動画を鑑賞。いやすばらしい。大理石の模様、マフラーの毛羽立ち、遠くに生える木の枝一本一本まで見える。女子アナの皆さんは恐怖でしかない(ぇ)。ちなみに音響もちゃんと22.2chぶんスピーカーが用意されていましたが、多い効果についてはよく分かりませんでした。2chが5.1chになったときほどの衝撃は無いんですよね。

さて、技研で公開されたのは非圧縮(何とびっくり18Gbps!)の映像なので非常にきれいなのですが、放送になるときは H.264 で圧縮することを想定しているようなので、どうしても細部はつぶれてしまいます。フルハイビジョンも非圧縮ならとてもきれいですが、地デジなり衛星デジタルなりではやはり汚く、パンしたりフラッシュを焚いたりしたら悲惨なことになるのはご存知のとおりです。スーパーハイビジョン放送ではそんなことにならないように期待したいところですが、どうなりますかね…


続いてニコマス/MMD/ラブプラス方面ではおなじみのARなお話。


マッチムーブ自体は今時NintendoDSでもできてる(フレームレートは知らない)ぐらいなのでそんな珍しい技術ではないのですが、この展示の新規性は「カメラ姿勢情報を映像と一緒に保存しておいて、それを元に多彩な編集を可能にする」というところにあるようです。編集で人丸ごと自然に消されるとか怖いわぁ(違


NHKでは基礎研究もやっていて、パネル展示も多くあります。理系人間なので基礎技術にホイホイされるわけですが、さすがに話が高度すぎる&専門外だと半分ぐらい分かりません。その中で個人的に面白いと思ったこの研究。

HDDは円盤に磁性体を塗ってそれを磁化することにより記録します。この磁化方向は数ピコ秒で切り替わり、そこだけならDRAMよりも速いのです。HDD が(半導体メモリと比べて)遅い理由のひとつは円盤やアームを機械的に動かさなければいけないからなのですが、機械的に円盤を動かす代わりに、電気的にデータだけを動かすことで高スループットな読み書きを実現しようというのがこの研究です。

ただ、この方法だと、1次元的にしか記録できないので、2次元的に記録するHDDとは記憶容量の点では相手にならない気がします(そういえば磁性細線の記録密度を聞くのを忘れてた)。容量を増やすには細線を増やしてさらに記録ヘッドと再生ヘッドを細線の数だけ設置する必要があります。ただ、HDDではプラッタとヘッドを増やしても1つのヘッドでしか読み書きできない(たぶん機械精度の問題)のと違って、磁性細線ではヘッドの数だけ並列に読み書きできるので、転送速度の点では有利なのかもしれません(転送速度も聞くの忘れてた)。

こんなところかなー。

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