OBS で、Discord で行われている1つのボイチャチャンネルから聞こえてくる音声を中央定位で載せるのは何も難しいことはありません。最も簡単には、単にデスクトップ音声を有効にすれば、スピーカーから聞こえてくる音声をそのまま載せられます。
一方、対戦会の観戦配信で、一方のチームのボイチャが左から、他方のチームのボイチャが右から聞こえてくるようにしようとすると、ちょっと工夫が必要です。
複数のボイチャチャンネル
まず、そもそもそれらは別のボイチャチャンネルであるはずです。Discord では複数のボイチャチャンネルに入ることは（サーバーが異なっていても）できないので、アカウントを複数取得する必要があります。
また、Discord アプリでは複数のアカウントを同時に使用することはできません。そのため、別の方法でログインする必要があります。
Discord PTB を使う
Discord では、リリース版アプリの他に PTB (Public Test Build) といって正式リリース前のテストビルドが提供されています。リリース版とはアカウント情報を共有しない（別のアカウントでログインできる）ので、複数のアカウントで同時にログインするためにこれを使うことができます。ダウンロードページの下の方に「公開テスト版ビルドのダウンロード」というのがあり、そこからダウンロードできます。
PTB のさらに前段階として canary というのもあります。性質上バグが混入している可能性がさらに高いのと、普通にはダウンロードページにはたどり着けない（ググるとリンクだけ見つかる）ので、あまりお勧めできません。
Web ブラウザを使う
アプリを使う以外にも Web ブラウザから Discord を使うこともできます。複数の Web ブラウザ（Edge, Chrome, Firefox, …）を使えばその数だけ同時にログインできます。プライベートウィンドウやシークレットウィンドウといった機能を使えばさらにアカウント数を増やせますが、これらの機能ではログイン状態が保存されないのでちょっとだけ面倒になります。
私は2チームのボイチャを左右に入れる場合に、通常使用の Discord アプリとは別に Web ブラウザでログインしたものを使うようにしています。通常使用の Web ブラウザは Firefox と Chrome なので、それを避けて Edge と Vivaldi で Discord にログインします。
音声を取り込む方法
次に、鳴っている音声を OBS で取り込む設定をします。
アプリケーション音声キャプチャを使う（オススメ）
OBS バージョン 28 以降には「アプリケーション音声キャプチャ」といって、指定したアプリケーションが出力している音声を取り込む機能が追加されています。他のアプリケーションが出力している音声は取り込まれないため、余計な音声が予期せず取り込まれることが防げます。なお、現在の最新版であるバージョン 29 時点でもこの機能はベータ版扱いとなっています。
これを使って、両チームの Discord のウィンドウをキャプチャします。
左右に振り分ける設定は「音声ミキサー」パネルの左下の歯車をクリックすると出てきます。このダイアログの「バランス」で一方の Discord を左に、他方の Discord を右に設定します。
ボイチャは基本的にモノラルですが、「モノラル」にチェックを入れてはいけません。この設定はバランス処理を行った後トラックに乗せる時にモノラルにするかどうかを制御するものらしく、チェックすると必ず中央定位になります。
この音声ソースは設定としてはウィンドウを指定しますが、実際にはアプリケーション単位でのキャプチャになります。同一 Web ブラウザの別ウィンドウのタブで（シークレットウィンドウを使用して）複数の Discord を開いていても、それを別々のものとしてキャプチャすることはできません。
定位を調整するブラウザ拡張を使う
試したことはありませんが、どうしても1つのブラウザで済ませたい場合は、タブごとに音声の定位を調整するブラウザ拡張を使う方法があります（たとえば Tab DJ）。一方のチームは普通のタブで、他方のチームはシークレットウィンドウのタブでログインし、それぞれを左右に振り分けます。
私は「それぞれのチームに専用の Web ブラウザを使ってログイン」＆「アプリケーション音声キャプチャを使う」でやっています。実際に配信されているものをメインのブラウザで開いてもその音声が OBS で取り込まれたりしないので、ちゃんと配信がうまくいっているかも同時に確認できます。耳がかなり混乱しますけど。
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